乙女は白馬に乗った王子を待っている
テレビの画面には、今までとは打って変わって意地悪そうな表情になった婚約者の顔がアップになっている。
『何、びびってんの。アナタの子のわけないでしょう。
この子の父親はね、鳥越さんよ。そう、アナタのライバル会社の。私、鳥越さんと結婚するから。
ま、パパがアナタの会社をどうするかはアナタもよーくわかってると思うけど。』
捨て台詞を残して、婚約者は立ち去る。
イケメン専務は泣きそうな顔で婚約者に追いすがっていた。
『ちょっと、待てよ! オレは最初からお前だけだったんだよ。
有森美香は、あんまりしつこいから仕方なく付き合ってただけだよー、オマエも知ってるだろ!?』
「えええ!!」
まさかのセリフにさすがに四人とも吹いている。
特に、イケメン専務の正体を知ったさやかは涙モノだった。
男二人はさらに小さくなって成り行きを見守っている。
そこに、影に隠れていた有森美香がさっと登場した。
顔が真っ青になるイケメン専務。
有森美香も、今までの、たおやかで優しげな表情はどこへやら、怒り心頭、鬼のような形相でイケメン専務に迫っている。
『しつこくせまっていたのはどこのどなたです? 専務がなさったことは、人事部の方によーくご相談させて頂きますから!』
そう言って、スマホに録音されている二人の会話を流した。
専務が部屋で強引に迫っていたときの、あの、場面だ。
『………』
婚約者と有森美香は同時にイケメン専務の元を立ち去った……。
イケメン専務はがっくりとうなだれて一人立ち尽くすのだった。