兄妹愛‐kayane and kazune‐



―――お兄ちゃん?


頭の中に、過去の記憶がよみがえる。


いやだ、よ。




「茅音…、俺」




うつむいて、見えなかったお兄ちゃんの顔が、見えた。


すごく、

すごく悲しそうな瞳で、あたしをみる。


……っ

そんな瞳で見ないで。



お兄ちゃんの瞳は、
あまりに深い深い黒で
吸い込まれそうだった。

きっと吸い込まれたら、
海みたいで、あたしは溺れてしまうんだ、

なんて、馬鹿なこと考えてて。


なぜか冷静なあたしに笑えてきた。




そうか、
もしかしたら、あたしは




こうなることを
知っていたのかもしれない。






ううん、

望んでたんだ。







こうなることを。




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