兄妹愛‐kayane and kazune‐

過去




ここは、どこ…?

見渡すと、小さい頃のあたしとお兄ちゃんがいた。



〔カズ〕



やめて。



〔ねえ、カズ?〕



やめてよ。

カズなんて、あたしはもう呼ばないの。


昔のあたしが、あたしを見た。



〔どうして?〕



あたしがお兄ちゃんをなんとも思ってないから



〔本当に?〕



本当だよ。



〔どうして、嘘つくの?〕



嘘じゃ、ない。



〔カズが可哀想だよ?〕



どうしてよ、
あたしがお兄ちゃん離れしないから
お兄ちゃんが傷ついたんだよ?



〔違うよ。まきえのことはあなたのためにしたことだよ。なのに、どうしてそのあなたがカズを傷つけるの?〕



なによ…、それ。


あたしはそんなこと、頼んでない。



〔忘れたの?春休みのこと。〕



忘れて、ないよ……。



〔ううん、あなたは忘れてる。全部、知らない。だから思い出させてあげる。〕



そういって、昔のあたしは微笑んで、あたしを見た。






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