婚約者はホスト!?⑤~愛しい君へ~
秘められた想い

「おはよう 勇斗くんママ~」

いつものベンチに、美咲ちゃんママが陽気にやって来た。

「うん おはよ~ 今日もいい天気だね」

私もニコリと笑い返した。

「へー うまくいったんだ~ 良かったね 勇斗くんママ ちゃんと愛されてたんじゃない」

ベンチに腰掛けるなり、美咲ちゃんママがそう言った。

「え? 私って、そんなに顔に出てる?」

まだ、何も話す前から、美咲ちゃんママは全てお見通しのようだ。

「んー 顔っていうより、首かな? キスマークたくさん付いてるよ」

美咲ちゃんママがニヤリと笑う。

「えっ! うそ やだ~」

もう 圭司ってば…

私が慌てて首元を隠すと、美咲ちゃんママは更に茶化すように言った。

「も~う お熱いことで~ 週末はエッチばっかりしてたんでしょ~」

「ちょっ 何 言って… そんなことないから…」

図星なだけに、どんどん顔が赤くなる。

「だけどさ、どうして今までセックスレスだったの~? 旦那さんにちゃんと理由聞いた?」

「あー 実はね…」

恥ずかしながら、私が圭司に言われたことを話すと、美咲ちゃんママはな~んだと呆れたように笑った。

「とにかくさ その北川さんだったっけ? もうその彼女のことは気にしなくて大丈夫じゃない? いくら、彼女が旦那さんに想いを告げたとしても、ちゃんと断ってくれるだろうしね…」

「うん そうだよね」

できることなら、北川さんには告白なんてしてもらいたくないけれど、圭司なら大丈夫たよね…

プルルル プルルル…

バッグの中で私の携帯が鳴り出した。

「あっ ごめん ちょっと電話出るね 親からみたい」

「はいはい どうぞ、どうぞ」

『もしもし、お母様?』

『もしもし なつ? あなた元気でやってるの?』

『うん 元気だよ あー ごめんね なかなか遊びに行けなくて… ずっと圭司の仕事が忙しかったから… でも、もうすぐ落ち着くみたいだから、そしたら…』

『そのことなら、ちゃんと聞いてるわ なつより、圭司さんの方がちゃんと連絡くれてるもの…』

『そっか…』

『それでね なつ 圭司さん、これから、家に帰れない日もあるって言うじゃない? ちょうどお母さん達も東京の家に方に戻るから、何かあったらちゃんと連絡してきなさいね… それと、たまには預けに来たっていいのよ…』

『うん ありがとう お母様 それじゃ…』

私が電話を切ると、美咲ちゃんママがちょっと不思議そうな顔をしていた。

「旦那さんのお母さん? お母様って呼んでたけど…」

「ううん 自分の母親なんだけど、昔からそう呼ぶように躾られちゃって…」

「ふーん そっか… あっ やっぱり勇斗くんママのとこも言われちゃった? 孫の顔見せに来なさいって」

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