ニクセ
少し自嘲気味に微笑むと、私の瞳をグッと捕らえた。
「困ってることがあるとマキから。僕らみたいな社会不適合者に頼むほど、お困りで?」
「…はい。明日までに必要で…」
「理由を聞いても?」
「……知り合いの金融に借りた分が払えなくて…」
「貴女が借りたんですか?」
「……」
「……」
「……」
「…ーー男ですか」
お金を借りるのに理由を聞かれるのは道理なのかもしれない。
貸したものを何に使うのか、確かに環には聞く権利がある。
けどそれは私からすれば気持ちがいいものではないのは確かで、はっきり言ってこの場を終わらせたくて堪らない。
「どうしようもないですね男ですね。貴女みたいなお綺麗な方が、そんな奴のためにこんな事をしなくてはならないのことに同情します」
他人にそこまでズケズケ言われる筋合いなんてない。
「マキのお知り合いってことは貴女は同じ店の従業員ですよね?」
「はい」
「だとしたらそれなりに稼ぎはあるのでは?」
「…元々借金があるんです。それの返済に毎月追われててカツカツな状態で、それなのにまたお金を借りて、その分を一定額に全額上乗せで返さなきゃならないんです」