ねぇ、運命って信じる?
彼が現れてから3週間後の仏滅…
もう来ることはないだろうと半分タカをくくっていたのに…彼がまた彼女を連れて来場した …模擬挙式を見学するために。
彼は彼女の希望を聞くためなら私がいても気にならないの?.....そう思うと顔が強張り、2人を見るだけで目頭が熱くなった。
3年間で作り上げたはずの仮面はいとも簡単に崩れ去り、目を逸らしていた現実をまざまざと突きつけられたような気がして胸が痛い。
模擬挙式では式の進行状況なども確認しながら、些細なことやフォローが必要なお客様の様子などチェックし質問にもすぐ答えられるようスタッフで共有する。緊張感があるが式場選びで模擬挙式を見てから決める方も多いのでミスしないよう気を引き締めてやり遂げた。
滞りなく進んだ模擬挙式…あの後ろ姿…「あっ。」ポケットから財布が落ちた。財布を拾ったその時彼が戻ってきて慌てて奪い取られてしまった。”あぁ、そんなに大切なんだ。綾乃さんの事が…私に写真を触られたくないぐらいに。やっぱりあの噂は本当なんだ…”
その後気まずい空気が流れたが、彼はハッとして
「拾ってくれてありがとうございました。それでは。」
「いえ……」
足早に去って行く後ろ姿はあの頃と変わらないのに…。
「完全に終わった…かな。」
乾いた笑いが漏れた。…再会してから業務以外で交わした言葉がたったあれだけ。…もう、彼を忘れる努力をしなきゃ。