love square~四角関係なオトナ達~
冷たい水を当てても患部は痛みを増すばかりで、体だけが冷えていく。


鏡を見ると右手の甲から肘にかけてと、首から胸まで真っ赤に変色している。


病院へ行こうにも車もないから無理で。


どうしようばかりで、ちっとも手段が浮かばない。


「ヒマリ?」


部屋にいく兄ちゃんの声がして、あたしは急いでバスルームを出てタオルで患部を隠す。


「ヒマリ、ここか?」


脱衣所に入ってきたいく兄ちゃんはあたしを見るなり隠したタオルの下を見て、抱き上げて部屋へ連れて行った。


何も言わずに濡れたスカートも下着も脱がせて、


「すぐに新しい服に着替えろ」


と、命令すると、新しくジーパンとTシャツを身につけたあたしの手を引き、事務所へ降りて会社公用の車のキーを取り、すぐに車に乗せた。


「病院行くからな」


病院といっても町の小さな診療所までは車で20分かかる。


その間、いく兄ちゃんは何も言わなくて、1本の電話に出ただけだった。
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