love square~四角関係なオトナ達~
「そんな社長の娘と聞いて、私は勝手に美櫻を、姫葵さんのお母さんのような人を想像していました。しかし、出会ったのはとんでもないワガママ娘で、本当に手をやきました。帰るといえば『ヤ』、何をしてもスネる、ふてくされる、八つ当たり。ちっとも美櫻と重ならない」


「…悪かったわね」


「だから、あなたはあなたで美櫻ではないんです。美櫻の影すらも忘れさせてしまう姫葵さんは、私のたった1人の大切な人です」


「琉偉…?」


「私の中に、もう美櫻はいません。いなかった2週間がありましたね?横浜に帰り、墓前に別れを告げてきました。花をたむけて“私には美櫻より大事に想う人ができたよ”と。   花は笑いました。まるでまた、“ありがとう”を告げるように」


「…っ…っ…!琉…偉…!」


「姫葵さん」


「…っ…っ…。ハイ…」


「私はあなたを姫葵さんだけを愛しています」


「…っ…っ…うん…」


「私と結婚してくれますか?」


「あたし…あたしなんかでいいの?美櫻さんみたいな思いやりも慈しみもない…こんなワガママなあたしで…いいの?」


「ワガママじゃなきゃ、姫葵さんじゃありませんから」


「琉偉の…イジワル…」


涙を溜めて、あたしは琉偉の首にしがみつく。


もらったキスの味は。


同じ味。


“愛してる”の味。
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