love square~四角関係なオトナ達~
「パパ、ただいまっ!」


リビングにパパの姿はなく、書斎にもいない。


仕事はとっくに終わってるはずなのに…どこ?


「…い。おーい、誰か…」


寝室の方からパパの声がしてあたし達が部屋のドアを開けると。


ベッドの上で横たわっているパパがいた。


「どうしたの、パパ!具合悪いのっ!?」


「いや、ちょっとな。春流がいない分、畑で無理をしたせいか…痛みが」


「どこ!?どこが痛むの!?」


「薬が。塗り薬がトイレにあるんだ。誰か取ってきてくれないか」


…ん?


トイレで薬…?


訳がわからないまま言われた通りトイレへ塗り薬を取りに行く。


「恥ずかしいから、部屋を出てくれないか」


「何言ってるの!?ちゃんと塗ってあげるから、傷口出して?手術の跡でしょ?お腹?」


「何言ってるんだ、姫葵」


「何って…腫瘍のオペの傷…でしょ?」


お互い ? 顔のあたし達親子。


琉偉といく兄ちゃんだけがお腹を抱えて笑い転げている。
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