love square~四角関係なオトナ達~
「私や社長を納得させられる3つの条件。それがあれば、羽田行きのチケットは取ってさしあげます。それまでは社長のお傍で」


「………」


ここに…パパの傍に…?


あたしはまるで幼い子供みたいに。


上目遣いで工藤を見て、頷いて見せるしかなかった。


「今日はもうお疲れでしょう。お風呂、支度ができてます。夕食までゆっくりお休みください」


両肩を抱かれて工藤はあたしをバスルームに連れて行って。


小さく咳払いをひとつ。


「さっきの上目遣い。姫葵さんの“素直”をひとつもらったので…その…。私もひとつ」


そう言って。


工藤はメガネの奥で恥ずかしそうな目をした後。


───ちゅっ


あたしの頬に。


小さな小さな、触れてないみたいなキスを残した。
< 24 / 240 >

この作品をシェア

pagetop