love square~四角関係なオトナ達~
それからは、和やかな歓迎会。


怜玖さんは春流にからかわれて。


怒った怜玖さんを工藤がなだめて。


それを見て、あたしは可笑しくなって笑ってしまう。


ここに留まることをあんなに拒否していたあたしだけど、この時間とこの3人に流れているのも悪くないカモ…なんて考える自分に驚いてしまう。


仲が良くてキャラの全く違う、工藤と春流と怜玖さん。


見てるとおもしろい。


「ところでぴぃちゃん。ぴぃちゃんはどうして東京に行ったの?」


「そうですね。勉強もせず、仕事に就く気もなかったように伺えますが」


「んー…なんていうのかな…。ここはね、こんなに広いのに、窮屈に感じちゃってたのカナ…」


手に持った缶ビールを見つめながら、あたしは5年前のあたしを振り返ってみる。


「ママは小さい時に亡くなってしまって、男手ひとつでパパに育てられて。朝起きる時も、お弁当作ってもらうのも、おかえりもおやすみもみんなパパ。この先もずーっとパパの傍にいて、ずーっと姫葵、姫葵って。なんだか自由がない気がしたの。一生この農園で終わっちゃうような気がして、だったら離れて1人で立ってみたい、って思った。

結局、パパの財力に頼りっぱなしで何も得られなかった5年だったけど」


「ふーん。贅沢の極みだな」


「うん…。怜玖さんの言う通りだと思う」
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