天才怪盗が拾った少女



すると、俺のスマホがなった。



「非通知……?」



一瞬戸惑ったが、出ることにした。



「……もしもし」


『あの、えっと……』



この一言で電話に出たことを後悔した。



「あの?」


『そこに、みさき、いますよね?』



なんだ、こいつ。


俺は電話の相手をしながら紙に字を書く。


そして、海に渡した。



『電話の相手が変だ。逆探知よろ』


海は嫌そうな顔をしながらパソコンに向かう。



「あんた、誰?」


『みさきの保護者です』



この期に及んで保護者?



なんだよ、それ。


いくら保護者だっつっても、こんなやつにみさきを渡せるもんか。



「どうしてみさきがあんなとこにいたのか知ってんのか?」


『……』



黙りこんだ。



ほらな。


そういうやつだと思ったよ。


ま、俺も知らねーんだけどさ。



『みさきを返してもらえませんか?』



そんなの言われたら俺が悪いやつみたいになるじゃねーか。


俺、こいつ誘拐したわけじゃねーぞ。


ただ、あのまま死なれてたら困るからここに連れてきただけ。



『お願いします』



とどめかのように言ってきた。



逆探知もなにもかもやめだ。


みさきを引き渡すときにどんなやつか見てやる。


もし、ろくでもねぇやつだったら、みさきは俺が引き取る。



「5番倉庫は知ってるか?」


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