隣の犯罪者?!
01
私は仕事でミスばかりしていたせいでイライラしていた
まあ私のせいだからしたかないか
諦め半分で駅に向かう途中、やけに街中が騒がしいのに気づいた
どうやらビルの屋上からの飛び降り
まったく迷惑な話しだ
私には関係ない
そうは思うが好奇心には勝てなかった
もうあらかた片づけてしまった後らしいが血の痕だけはやっぱり消えないみたいだ
女かな?男かな?
不謹慎だと思いながら辺りを見渡すとニヤリと笑ってる人がいた
気持ち悪い···こんな場所で縁起でもない
もう帰ろう
事故現場を後にして歩き出すと声がした
「なあ」
振り返らない私にイラついたのか急に肩をつかまれた
「警察呼びますよ?」
「女だよ」
「はい?」
「飛び降りた奴」
それだけたったそれだけ言うと私を追い越してしまった
気持ち悪い人
駅に向かう気もなくなりけっきょくタクシーで帰ろうとしてロータリーに向かえばシルバーのバイクが目にとまった
えっ?さっきの人?
関わりたくないなぁ
そう思って踵を返そうとした
「待てよ」
「あのなんなんですかさっきから」
「おまえが先回りしてるんだろ」
まるで爬虫類みたいなのだ
イケメンだけど爬虫類顔
正直タイプじゃない
「あの」
「トカゲ、蛇?
おまえ初対面の奴にそんなこと思ってんのか?」
「あっいえ」
さっきからなんでわかるの?
「おまえ読みやすいからなぁ」
あっ終電なくなっちゃう
「電車」
都心には近いけどそれでも田舎のような場所だ終電は早い
「送る」
「やめてください
離して」
強引に手を捕まれて引き剥がそうとした時に声がした
「君たちなにしてるんだ?」
けっきょく近くの交番に連れて行かれた
関わりたくなかったのに
適当な言い訳を考えていると隣から声がした
「すんません迷惑かけちゃって
彼女がどうしても帰りたくないって駄々こねるもんっすからこじれちゃって」
イタズラっぽく笑う
蛇男なかなかな言い訳かも
「君たち次は気をつけるんだよ
もう帰りなさい」
やっと解放されて私はため息をついた
「腹減ったな」
なんなのこの人、謝りもしないで
「ちょっと」
「帰るんだろじゃあな」
「こんなとこにおいてかないでよ」
なんで?という顔をされたがバイクはちゃんと押してくれている
駅から近い牛丼屋の前にバイクを停めて店内へ
カウンターに座るなり牛丼を注文した
「ねぇ」
「腹減ってんの俺は」
イライラしながら私も牛丼を頼んだ
< 1 / 26 >

この作品をシェア

pagetop