隣の犯罪者?!
タクシーに告げた住所は曖昧でいつの間にか眠り込んでいた私はタクシーの運転手さんに起こされボロボロのアパートの前で降りた
降りた瞬間から涙が流れてきて気づけばボロボロの階段を登っていた
こんな時間だし
やっぱり玄関のドアは開いてない
期待してた私がバカだった
「なにやってんだストーカー」
その声に顔をあげるとジャージ姿の皇夜がいた
手にはコンビニの袋
私は皇夜に抱きついて泣きじゃくった
皇夜はなにも言わず抱きしめてくれた
「皇夜」
「つーか人の目ぐらい気にしろよおまえ」
私は皇夜から離れて鍵の開いた部屋に入った
「···ただいま」
「おまえシャワー浴びてこい
他の男の匂いさせてよくここまできたな」
「入りたくない」
「はあ?」
「体、痛いから」
皇夜は何も言わない
「顔あげろ」
皇夜はゆっくりと私と視線をあわせてくれた
そしてキスをしてくれた
銀のピアスが体温と溶けあうようだった
「···」
惚けている私から夏物の薄手の上着を脱がしていく
肩にある痣、お腹の痣···
「なにしてんだよおまえは」
皇夜が怒ってる
初めてみるかもしれない
私は手首を掴まれて強引にお風呂場に連れ込まれ服を脱がされた
シャワーを頭からかけられお湯が傷に滲みた
「痛い」
皇夜がお風呂場からいなくなると私は泣き崩れた
お風呂場から戻ると皇夜はベッドで寝息をたてていた
「皇夜ありがとう」
「おまえ声デカいんだよ」
「あっごめん起こしちゃった?」
電気も点けずにタバコに火をつける
「別に」
私はベッドに腰かけた
「本当バカだよね私」
「バカなのは生まれつきじゃね?」
一本目を灰皿に押し付けて二本目に火をつける
「生まれつきって」
二本目のタバコもすぐに灰皿に押し付けてしまい三本目に火をつけた
「そういや母親は俺を置いて消えて父親も他に女作って出て行ったんだっけな」
「えっ···」
「それから色々たらい回しにされて気づいたら大人になってた
っておまえ寝ないの?」
私はタバコを消した皇夜を押し倒した
「このまま」
「変態」
私はいつの間にか皇夜を押し倒したまま眠っていた
朝になってこの構図は恥ずかしいことに気づいて退こうとしたらキスされた
変態はどっちよエロ王子
「おはよ」
皇夜は起きる気がないので冷蔵庫を勝手に開けてみる
お腹すいたなぁ
冷蔵庫にはペットボトルの水が二本以外はあまりめぼしい物はなかった
皇夜は普段なにを食べてるんだろう
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