溺れる恋は藁をも掴む
 恋人達や女子会などで利用されそうな、お洒落なオープンカフェで、ケーキセットを彼女にご馳走しながら、聞いて貰った。



 「まずは、華の身体でイケたんなら、今までの悩みは解決だよね。
一歩前進!」

 香澄はガトーショコラにフォークを入れながら、笑顔で言う。

 アキと再び出会う前に、誠治さんに失恋した時も、香澄に泣きついて、居酒屋で報われない思いを聞いて貰ったもんね……

 誠治さんに失恋して以来、自分に自信が持てなくなっていた。

 また、真剣に好きになって、受け入れられず、置いてけぼりになるのは怖い。

 かといって、何もしないで終わってしまうのも辛いんだよね…

 ーー揺れてるのさ、私ーー

 ブラブラとどっちに行ったらいいのか分からず、ぶら下がっているんた。

 こんな中途半端な場所で……

 

 
 どうか、恋愛偏差値の低い私に、良い知恵を授け給え!


 行き先にアドバイスを下さい!

 姐御香澄様!!





 「それはね‥‥嬉しかったの。
それに……
相手ならアキだから余計にね」

 あ、あ……もう、こうなったら本音!!

 本音で話して、香澄にこのせつない胸の内を聞いて貰う覚悟を決めた。


 「確かに嬉しいよね。
好きだった男に再会。
そして、ドラマチックな展開。
失恋した心を癒すのは、やっぱり男よねー」

 「でもさ、私が連絡しなかったら、あっさり終わる関係でもあるよね?」

 「まぁね……
向こうは恋愛感情なしって、最初から言ってるんるんだし、それ以上を求めるのは、華の努力次第だよ」

 「アキとこんな関係になって、嬉しいけど、苦しくなるのが目に見えていて、このまま、あの夜の事を大事な思い出にした方が楽なのかもなんて思ったりもする……」

 言っている事の気恥ずかしさで、喉が渇き、目の前のアイスコーヒーをゴクリと飲んだ。
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