溺れる恋は藁をも掴む
 「おでんじゃなくて、肉じゃがなんだね」


 私も笑う。
香澄が笑顔にしてくれるから。

 「昆布だしにしとくよ!
 華、それ以来、アキ君に会ってないの?」

 「うん。
お礼のメールはしたんだけど………

 『俺の方こそ有り難う、またな』って返信がきたんだけどさ……
 その、『またな』を間に受けていいのか、悩んだ」


 「またなって事は、また会ってもいいって事なんじゃない?

 なら、華から誘いなよ!
これっきりになっちゃうかもよ?
 鉄は熱いうちに打ちまくれ!!」


 「どうやって?」

 「会いたいって、素直に言えばいいじゃん」

 「そうだよね…
 この間は、アキにご馳走になりっぱなしだから、気になっていたんだけど、どうやってお礼したらいいかのかも悩んだんだ……」


 「今度は私がご馳走させてでいいじゃん」

 「ーーうんーー
そうメールも返したんだけど……
 『気にするな』って、返ってきた。
 だからさ、うまく言葉が見つからなくて‥‥‥」
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