溺れる恋は藁をも掴む
 「今夜、暇なら会いましょ?でいいじゃん。

 まずは会う事を肯定にした言葉を送る。
都合悪ければ断るだろうけど、そこでめげちゃダメよ!

 じゃあ、アキの都合のいい日に会いましょって、絶対会いたい思いを込めるんだよ。

 最高の理解者なら、会いたいって言うのを無視しない関係なんだよね?」

 「うん。
 あっ、じゃあ、それ、使わせて貰う」

 「どうぞどうぞ!
健闘を祈りますよ。

 華、
悪い!
もう行くわね…

 慌ただしくてごめん。
でも、今日会えて良かったわ!」

 「私こそ、有り難う!

 香澄のお陰で、クヨクヨしていた気持ちが消えたよ。

 スパッと切り替えられそうな気がする」

 「そう、それは良かった。
お役に立てたみたいで何より」

 「本当に有り難う」

 「いえいえ、
 最後に友達より男を選ぶ、私を許しておくれ」

 「はい、了解です」





 香澄とカフェの前で別れた。

 幸せのオーラを纏った後ろ姿美人の香澄。
いや、本物の美人は彼女のような人を言うんだ。

 前向きで正直で自分を大事に出来る人。


 一歩進もうとする勇気を貰えた。

 いい友達に出会えた。

 これも、必然の出会いなんだよね。



 私は携帯を手に取る。
アキ宛てのメールを打った。



 『今夜、会いましょう』





 送信……
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