溺れる恋は藁をも掴む
 静かに部屋の鍵を開けるアキ。


 靴を脱いで上がると、アキは、いきなり私を抱き寄せた。


 電気を点けない部屋の中、影のシルエットを頼りに唇が重なる。

 フワッとした感触が伝わる。

 強引なキスが、私を女に目覚めさせてゆく……


 ねぇ、もっと、強引に奪って!


 ーー私の全てをーー


 二人の唇が何度も何度も重なり合う。

 恋しいから、離せない。

 愛しいから、唇が追ってしまうの…


 いつの間にか、生まれたままの姿であなたと肌を重ねていた。

 伝わる体温、触れ合う身体、エッチで恥じらう心も、全てをひっくるめて、甘く切ない時間が包んでくれた。


 ーー愛しくて堪らないーー


 この想いを託し、身体を委ねた。
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