溺れる恋は藁をも掴む

言葉にしない『好き』

 アキが私の手を握り、月明かりに照らされ、歩き出す。


 ドキドキするし、手汗も気になる。
けど、ロマンチックにもなりたいし……


 嬉しい、恥ずかしいが交互した。





 「うち来る?」

 「えっ!?」

 「ひとり暮らししてんだ。
あっ!でも、普通の小さなアパートだから、声我慢しないといけないけどね」

 私をからかい、笑うアキ。


 「もうー!!」

 気恥ずかしさから、少し、ムッとする私。

 「どうする?」

 「……行きたい」


 あなたとなら何処へでも。


 「ねぇ、俺としたかった?」

 「もうー!!
これ以上、意地悪言わないでよ…」

 顔見れないよ! 恥ずかしいすぎ!!


 「大切な事だよ。
俺としたいって気持ちがあるかないかってさ……」

 「‥‥う……う‥…もう!!……したいよ…‥」

 もう、言葉攻めですか!?

 ーーそういうの、慣れませんから!!ーー



 「なら、しょう、華」

 「……うん‥‥」

 「今日は俺を癒して!」

 「えっ!」

 「華の温もりが欲しい」

 「私で癒せるの?」

 「勿論だよ。
華とそうしたいから……」

 「うん‥‥」



 恋愛偏差値の低い私には、この言葉攻めで完全にノックアウトですが!!





 アキに抱かれた最初の夜を思い出したりね……


 ーー恥ずかしいねーー

 でも、これが本能ってもんでしょ?

 余計にドキドキしちゃうよー


 肌を見せるのは、もっと恥ずかしいはずなのに、セックスは気持ちいいからしたいなんて、欲張りかな?

 でもね、そんな欲望に素直になりたい夜もあるんだ!

 
 恋する自分を上手く隠して、『好き』という言葉の代わりにあなたを求めた。


 求めて求められる悦びは、きっと、いつまでも慣れなる事はない。


 ーー慣れてしまいたくないよーー



 アキと繋がりたい気持ちは純粋なんだもの…










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