溺れる恋は藁をも掴む
 真っ赤なスーツに、前髪を眉毛上でパッツンと真っ直ぐに切り揃え、腰まで綺麗に伸びた黒髪。

 細い脚に少し高めのヒールを履き、コーヒーを飲みながら煙草を吹かす女。

モデルか芸能人か?と思わせるほどのルックスが抜群な女。

 神田莉緒(かんだ りお)


 目の前まで行くと、やや不機嫌な顔をして、俺を見上げる。

 注文を取りに来たウェイトレスに、コーヒーを注文し、 彼女と向かい合わせに座った。


 「久しぶりね。
晶」

 「久しぶり、莉緒」

 彼女とは大学の時に知りあった。

 同じ経済学部の講義を受けていた。

 莉緒はドクモ(ファッション雑誌の読者モデル)などをしていて、目立つ存在だった。


 俺は、美人な莉緒を友達としては最高と思いながら、女として好きになる事はなかった。


 「悔しいな……
私がアプローチして振り向かなかったのは、晶くらいよ!」

 そんな事をサラッと言う強気な女でもあった。
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