溺れる恋は藁をも掴む
 座ってコーヒーを飲んでいる姿も、人目を惹くものがあった。

 化粧品会社の広報で働いていて、益々磨きもかかっていた。

 「てっきり、モデルになるかと思った」

 お互いの進路が決り、そう言った俺に対して、莉緒は言ったんだよな……

 「バッカじゃね?
 牧瀬晶も落とせない女が、モデルで通用するわけないじゃん!

 チャラチャラしているようで、ちゃんと自分の将来考えてんのよ!」

 そう言って、笑ったんだよな。


 口を開かなきゃ、かなりイケてる女なのに、そこが残念だな。

 「そんなに俺の事好きじゃねーだろ!
彼氏居るくせに」

 「あら、大好きよ。
最高の理解者は晶。
彼氏は別腹」

 そう言って、あっけらかんとして舌を出した莉緒。

 俺にとっても最高の理解者の莉緒。

 莉緒が最高の理解者になってから3年が過ぎていた。

 『ネットが上手く繋げない』と言われ、仕方なしに、ネットを繋ぎに莉緒の家に行った時、まぁ…そういう関係になったわけで……


 届いたコーヒーを飲みながら、莉緒の話に耳を傾けた。

「スケジュール空けて待っていたんだけどな‥」

 莉緒の一言で、俺はハッとした。
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