これを『運命の恋』と呼ばないで!
「まぁどっちでもいいよ。ナツにも気になる人がいるってだけで」


恋に発展するといいねと言いながら鼻歌を混じらせる。
ぐうの音も言い出せない私は、その姿を見留めながら改めて考え直した。


ワンピースを着て現れた汐見先輩のフルネームは『汐見由樹(しおみ ゆき)』

色白でストレートのロングヘアが似合う長身の女性。
年齢は27歳で鬼先輩の同期生。
体は細身でスタイルは抜群に良くて、目は大きくて二重まぶた。

「まつ毛が長いからツケマは必要ないわねぇ」と、課内の誰かが話していたっけ。

唇の色は自然なサーモンピンクで、それを初めて見たのは飲み過ぎた…と言って、ノーメイクで出社してきた時だった。
眉間の辺りから筋の通った高い鼻は、少しだけ先が上向きになってるけど、ブタみたいに穴が見えたりもしない。

とどのつまり、逆立ちしても勝てない美人で、イケメンに見える鬼先輩とはとてもお似合いだってこと。



(あの二人が資料室で話してことは何だったんだろう)


コソコソと話してるみたいだったからあまり聞かないようにはしてたけど気になる。

あの時、汐見先輩は言ってた。


『私は空君の……』




(青空先輩の……何だろう?って言うか、「彼女」以外には考えられないけど……)


汐見先輩は神妙な顔つきで上着の肘を摘んでいた。
ちらっとしか見なかったけれど、青空先輩の表情も固まってたように思う。


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