これを『運命の恋』と呼ばないで!
「まいるなぁ。ホントに」


動揺を隠しつつ呟いた。
ドクドクと響いてくる胸の鼓動をわざと聞かないようにした。

これ以上隣にいると、平静な気持ちを保てなくなる。

早く逃げ出さないといけない。
急いでデスクに戻らないと。


「仕事に戻ります」


焦るように向きを変えた。
歩き出そうとするのに何故か足元がフラつく。



(あれ……?)


体が斜めになっていく。
いよいよ死期が迫ったのか、手から紙コップが滑り落ちた。



「……若山!」


鬼先輩の怒鳴る声がした。



(何ですか先輩…私、まだミスもしてないですよ……)



そう言いたいのに、目の前は暗くなって、まるで鉛が付られけたように意識が重く沈んでいったーーーー。











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