悲しみの果てに

••退職


翌日、外科病棟では、
騒ぎになっていた。

総師長から
「呉 鈴菜さんは、
一身上の都合により
退職されました。
皆さんに、挨拶もせずに
退職したことを
心から詫びていました。
私は、いつでも
戻ってきてくれることを
待っていると
お伝えしました。」

俺は、直ぐに
大西と新垣の顔をみたが
辛そうな顔をしていた。

俺は、
「大西、どういうことだ?」
と、問い詰めると
「先生が、一番お分かりでは
ないのですか?
これ以上の騒ぎたては無用です。
鈴菜をこれ以上、傷つけたら
訴えてでますよ。
私は、鈴菜の為なら
この病院をハレンチな医者が
いる病院だとテレビ局や週刊紙に
売ってもいいのですから。
私や新垣に対して、仕事以外の
声かけは、なさらないで下さい。」
と、言った。

俺は、何も言えなかった。

毎日、鈴菜の家に行ってみるが
鈴菜の家に灯りがともることは
なかった。

玄関の鍵も変えていて
俺は、中に入ることも
出来なかった。

綾香さんは、入院しているし
そちらのマンションに帰っていた。

それから、綾香さんの
体調が落ち着いて
話ができるようになったのは、
更に、四ヶ月を要していた。

その後、四井さん側と話し合い
綾香さんは、お腹の赤ちゃんの
父親と再婚した。

全てが、片付くまでに、
更に、二ヶ月が経過し
綾香さんも臨月となっていた。
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