悲しみの果てに

••突然に


俺は、毎日
夜、遅くに新居となった家に戻り、
自分の部屋で眠った。

綾香さんから
「夫婦なんだから
一緒に過ごして欲しい。」
と、言われたが
俺は、応えるつもりはない。

彼女が強行な手段を使って
俺を嵌めたのも気に入らなかった。

俺は、早く鈴菜と
一緒になりたかったが
鈴菜が、楽しそうに
看護師の仕事をしていたから
もう少し、待とうと
思っていた。

早く、両親にも
会わせていたら良かった。
悔いても、悔いても
もう······戻らない。

そんな苦悩の日々を
送っていた。


そんなとき
病院を出て、鈴菜の家に
行って見ようと思っていたら

目の前に鈴菜がいて
驚いていると
鈴菜が、崩れるように倒れた。

俺は、走ってそばにいき
「鈴菜っ!」
と、言うと
「‥‥とう‥ご······さん‥」
と、言うと意識をなくした。

俺は、鈴菜を抱き上げて
タクシーを止めて
抱いたまま乗り込み
鈴菜の家に連れて帰った。

家に着くと
「鈴菜、カギ?」
と、言うと
「‥バッ‥ク‥な‥か‥」
と、言うから
バックを明けて
カギを出して開けて、
再び鈴菜を抱き上げて中に入り
ベッドへ運んだ。

付き合っていた時から
知っていたので
鈴菜の着替えやパジャマを取り
体温計を持って来て
鈴菜の服を脱がせて
着替えさせた。

鈴菜の素肌を見ないように
心がけた。
見たら、触ったら
抱きしめたい衝動にかられる。

病気の鈴菜は安静が第一。

だから、淡々と着替えさせて
熱を測る
38度7分あり。
「高いな。」
苳吾は、簡単なお粥を作り
鈴菜に食べさせた。
「もぅ、いらない。」
と、鈴菜。

二口だが、食べたから
薬を口うつしで飲ませて
解熱剤を飲ませた。

苳吾は、鈴菜の唇にむさぼりつきたい
衝動を我慢しながら
水分を与えて
熱さまシートをはった。

前から、鈴菜は、風邪をひくと
高熱を出すから
苳吾は、タオルや着替えを用意して
洗濯機を回した。
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