俺様彼氏はShy Boy?

浮気? 本気?



放課後。

帰り支度をしているあたしの視界に、チラチラと映りこんでくるのは。

いつの以上に機嫌のいい美佳の姿だった。


メイク直しもバッチリ。

いつも以上に短くされたスカートからは、スラッと伸びた長い足。

甘ったるい香水の香りを周りにもばら撒いて。


「何か良い事でもあった?」


美佳の周りに集まる友だちが、そんな美佳に言葉をかける。

それに対して、美佳は満面の笑みで。


「まあね」


どこか余裕をも感じるその声に。

あたしは耳を塞いでしまいたかった。


「何が、まあね。よ…」

「比奈? どうしかしたの?」

「ううん。なんでもない」


そう言いながらも、美佳のことが気になって仕方なくて。

未来の話を聞いているようで、美佳に聞き耳を立ててる自分がひどく惨めな気持ちになった。


さっきトイレでバッタリと会ってしまった時に。

念入りにメイク直しをしながら意味ありそうな笑みを浮かべて、あたしに言ったんだ。


『ごめんね?』


きっと、海斗のことを言ってたんだと思う。

また、相談に乗ってもらうの。と言う意味のゴメンね、なのか。

それとも、他にも意味があるのか。


わからなかったけれど、あたしは出来るだけ自然な笑みを作って。


『気にしないで?』


なるべく余裕があるように見せるだけで精一杯だった。


そんなあたしに、小さな舌打ちをした美佳だったけれど。

あたしはそれには気づかずに、美佳より先にトイレをあとにした。

美佳のあの意味深な笑みも、挑戦的な目も怖くて。

逃げるように教室へと戻ってきてしまった。


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