俺様彼氏はShy Boy?


引き寄せられるように重なった視線は逸らすことなんて出来なかった。


昨日は夕日のせいでよく見なかった海斗の顔。

こんなに近くでハッキリと見たのは、あの日教材を運ぶのを手伝ってくれたとき以来だよね。


ここに来るまで、海斗の顔を見るまで。

あんなにも怖かったのに……


変なの。

海斗の今の顔を見たら、引き寄せられるように足を進めていた。


ねえ。

どうして、そんなに小さな子供みたいに泣き出しそうな顔してるの?


てっきり不機嫌な顔をしてるか、無表情か。

そう思っていたのに。

そんな予想外のその表情に、手を差し出したくなる。


……寝不足なのは、海斗も一緒じゃない。


海斗の顔を見て、一瞬でそう思う自分がいる。


「…隣、座っていい?」


さっきまで喉に張り付いたようになかなか出てこなかった声が。

不思議とすんなりと出てくる。

海斗の返事を聞くことなく、あたしは海斗の隣に少し間をあけてちょこんと座った。

そんなあたしを怪訝そうに眺めてるだけで、何も言ってこなかった。


それもそうだ。

さんざん海斗のことを避けてきたのに。

昨日、今日って自分から話しかけて。

何もなかったかのように、海斗の隣に座る。

自分でもビックリだもの。


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