俺様彼氏はShy Boy?


「…もう、ここでいいよ」


これ以上海斗に迷惑をかけるなら、ここに置いていってもらった方がいいと思う。

これ以上、海斗に呆れられるなら、一緒にいるのがツライから。

だから、先に行っていいよ。

そう思うのに。

海斗はあたしの言葉を聞くなり。


「無理」


そう言って、舌打ちしたかと思うと。


「……えっ?」


不意に掴まれた腕。

海斗は何も言わずに、あたしの右腕を掴んだまま歩き出した。


「……海斗」


あたしの声は聞こえないのか、それとも無視されてるだけなのか。

さっきまで人混みで歩きづらかったはずなのに。

今は、海斗が盾になってくれてるからか、すんなりと歩みを進められる。


あたしに見えるのは海斗の背中だけで。

その大きな背中と、腕に感じる海斗の温もりに。

涙を堪えるのに必死だった。


「充? 今どこ」


あたしの腕を掴んでいないほうでミッチャンに電話してる海斗を、呆然と眺め。


「比奈を引取りに来い」


まるで荷物のような言い方なのに、それが海斗らしい。

だけど、そんな海斗の言葉が胸を締め付けて熱くさせる。


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