俺様彼氏はShy Boy?

この気持ちを伝えたくて



放課後。

教室にはもう海斗の姿はなかった。


もう非常階段へ行ったのかな…


そう思って急いで帰りの支度をした。


「…未来、バイバイ」


何も答えてくれなくていい。

ありったけの笑顔で未来を見て、そう呟いて教室を後にした。


廊下に出てすぐに、鞄を胸のあたりでギュッと抱きしめ足早に非常階段を目指す。

早く海斗に逢いたい。

でも、怖い。

でも、ずっと変わらなかった気持ちを伝えたい。


本当はまだ何にも整理なんてできなくて。

何を話したらいいのか。

どんな風に気持ちを伝えたらいいのかわからない。



ただ、好き。

それだけは、ちゃんと伝えたい。


今までさんざん否定してきた海斗が好きだという気持ちを、素直に好きだと認めてあげたことでこんなにも心が軽くなった。


たとえ海斗にもう気持ちがないとしても。

片思いだっていいじゃない。

ただ海斗が好き、それだけでいい…ってそう思えるようになっていた。




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