先生。あなたはバカですか?
きっと、時間を忘れていたのは問題集に没頭していたからだけじゃない。


この人、普段はあんなに適当な感じに生きているくせに、意外にも教え方がもの凄く上手だった。


私は、この人の授業を受けた事なんてなかったのだから知る由もないのは当然だけど、


それにしたって驚いたんだ。


今まで沢山の教える側の人間を見てきたけれど、 この人の教え方が一番自分に合っていた。


そんな事実に…。




認めたくないけど。


認めたくないけど。


認めたくないけど。



じっと彼を見ていたのに気付かれて、「ん?」と首を傾げられる。


私は、慌てて問題集を片付けるフリをして誤魔化した。



何だろう。


何だかこの人のする事する事がらしくなく感じてしまう。


いつもよりずっとマシに見える。




いつもの不良教師はどこにいったのよ。


いつもみたいに私をイライラさせてよ。


嫌いにさせてよ。




講習会の用意をして、椅子から立ち上がる。



「お前さ…」
< 103 / 434 >

この作品をシェア

pagetop