先生。あなたはバカですか?
先生は、なぜだか神妙な面持ちで私の事をじっと見詰めてくる。


「なん…ですか?」


私は、思わず後退り。


「その格好で講習受けるわけ?」



“その格好”てなんのこと?


さっきからずっと同じ格好なんだけど。



「そうですけど」


「何でノースリーブなんだよ」


「…は?」


いや、なぜってあなた…


「暑いから以外に何があるんですか?」


先生は納得いっていないのか、まだ不満そうな顔を向けてくる。


一体何がそんなに不満なの?



「上に何か羽織れよ」


「何なんですか急に。嫌ですよ暑いし」


「ダメだ」


「だから何で…きゃっ!」



急に腕を引っ張られ、私はバランスを崩す。


そして、そのまま先生の腕の中にすっぽりと収まった。



「なっ…!もうっ!!本当にこういう事ばっかりしないでくださっ…「俺が嫌なんだよ」



––––え?



「俺以外の奴に見られんのも。触られんのも」



「……っ」



少し余裕のない掠れた声。


耳元で囁くものだから、こそばゆい。


「…分かったか?」


「…あっ!」

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