先生。あなたはバカですか?
耳に痺れるような刺激が走る。



こいつ…耳噛みやがったぁ!!!!


真っ赤になっているであろう顔で、耳を押さえながら彼を睨みつける。


もうすっかり、意地の悪いいつもの不良教師の顔だ。


ペロリと舌を出して、不敵な笑みを向けてくる。


「返事は?じゃないと次は耳じゃ済まないけど?」


「!?!?」



このままだと、身の危険を感じるわっ!!!!



「分かった!!!分かったので、それ以上近付かないで下さい!!!!」


私は、両手をパーのまま前に突き出し、向かって来る先生を制止する。


「へー残念。次はどこがいいかと思ってたのに。まぁ、言うこと聞くならそれでいい。

じゃ。俺先行くわー」


満足そうに、手をヒラヒラさせながら先生は部屋を出て行った。



私はその場にへたり込む。



少しでも、まともなのかもと思った私がバカだった…。


間違いなく、いつもの不良教師じゃないか!



「あー…もうヤダ。帰りたい…」






数学特別講習会は、まだ始まったばかり。


いや。


まだ始まってもいません。
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