先生。あなたはバカですか?

私が顔を真っ赤にしてふくれていると。


「はっ!嘘だよ!」


と言って、先生は私の頬をつねりながら破顔する。


「キャッ!」


そして、私を自分の腕に座らせるように立て抱っこして……。


「サンキュ。めちゃくちゃ嬉しい」


「……っ!」


胸の中が温かいもので満たされてくような、甘くて柔らかい満面の笑みを見せた。


「失敗……しちゃいました……」


「うん」


「美味しくないかも……しれませんよ?」


「うん。それでも、翠が作ってくれたってだけで最高」


この人は、私をどれだけ有頂天にさせれば気が済むのだろう……。


「先生は、私に……甘すぎです」


先生はふっと笑って私を下ろすと、私の額に自分の額をあて、「なぁ翠」と甘い声で私の名前を呼ぶ。


「キス、していいか?」


「……っ!!」


こんな至近距離で、真っ直ぐに私の目を見つめながらそんな事聞くなんて……反則だ。


「いつも……強引にするくせに……」


「うん。だから、ちゃんと一緒の気持ちでキスがしたい」


「~~~っっ」


「嫌だ?」


「……いやじゃ…ない…けど……」


私、今きっとこれでもかってくらい真赤になってると思う。
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