彼の優しさ 番外編
そんな俺の考えている事が分かったのか母さんは
「あら?覚えてないの?家からお歳暮で藍ちゃんの所に送ったのが最初なのよ?…それでお茶屋さんの味が気に入ったからってお店を紹介したの。」
……あっさりと答えをくれたな。
ふと、藍に視線を向けるとごま和えをパクパク食べている。……よく食えるな。
ジーッと見られているのに気付いたのか藍は
「誰かさんはごま和え嫌いだもんね。」それを言うなよ。
「あれはトラウマレベルだと思うぞ?」
あの時はまだ麻美が2歳位だったか?
自家菜園をやっている大伯母からさやいんげんが送られて来て、それがかなりカメムシ臭かった。
………思い出すだけで寒気がする。
うん。考えているのをやめよう。
気を取り直して別の料理に手をつけた。
……俺がごま和えを見ないようにしていたのは仕方ないと思う。