誠の誓い
永倉が、藤堂の着物を着た縁を背負い

屯所に戻ると




「副長 縁は、いませんでした」


「そうか… おっ!平助!!!
永倉!!よくやった!!」


「大したことねぇけど、斬られてんだ
山崎、診てくれよ!」


医務室に運ばれ、敷かれた布におろされた



山崎が顔を覆う布に手を掛けようとして

止めた



「どうした?」



布を外して、土方に


「コイツ、縁です」




驚き、固まる皆に


ふわりと微笑む



「お願いします……総兄ちゃんには
縁が遠くに逃げ延びたと言って…
そして、俺を藤堂平助として……

……死なせて」



「いくらなんでも、その怪我じゃ
死なねえだろ」




懐から、伊東から土方に宛てた文を出した




「ケホッ ケホッ ゴホッ」




喀血し、呼吸を乱す







「縁!!!」

「おい!しっかりしろ!!!」




文を読み終えた土方が、皆に告げた




「心の臓を病み、労咳を発症している
縁は、寿命だ」




少し息が整い



懐から、巾着袋を出した





「斎藤さん… 願い叶った… へへっ」










計画通り、藤堂平助として

この世を去る事が出来た









「伊東さんの文には、なんて?」


「墓は、一緒にしてくれって
2人は、……恋仲だったんだ」














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