彼氏の好きなヒトになる方法
「えっと……そんな申し訳なく思わなくていいよ。男の子だし、どうしてもそういうの気負っちゃうかもだけど……。私、疲れたら言うし。俊くんも疲れたら言ってね」
ね?と言うと、俊くんはまた少し沈黙した。
そしてちょっと俯きがちに、「……わかった」と頷く。
……本当にわかってくれたのかな。
不安に思いながら、買ってきてもらったパン屋さんの袋を開ける。
「……えっと、俊くん。メロンパンとクリームパン、どっちがいい?」
尋ねると、ジュースを飲みながら何か考え事をしている様子の彼が、ハッとした顔でこちらを見た。
「……あ。佳菜、好きな方取っていいよ」
「……じゃあ、カメさんもらうね?」
「うん」
「いただきます」
「どうぞ」
俊くんも袋からカニさんクリームパンを取り出すと、食べ始める。
その間、無言だった。
といっても、私たちにとってはいつも通りだ。気まずくはない。
……と、思ってた。
でも、なんだか今日は違うみたいだ。
どうしてかわからないけど、俊くんの目線が下だ。伏せ目がちの目が、何を考えているのか私に教えてくれない。