四季のいたずら


『ごめんね、変な態度とっちゃって。それだけ謝りたかった』


「ううん。大丈夫」


『ありがと。あたしからはそれだけ』



まるで、理由は訊かないでと言っているみたいだった。


ただ気まずい関係になるのが嫌だからとりあえず謝っておく。そんな感じ。



いつもの私なら怖くてこれ以上踏み込めないけど、今日なら言える気がする。



「......理由、聞きたい」


『え?』


「泣いてた理由。心配だから」



......せつは黙り込んでしまった。


やっぱり訊かない方が良かったのかな。



ううん。訊かなきゃいけないんだ。


大丈夫。



そう自分に言い聞かせ、せつからの返事を待つ。
< 49 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop