背伸びして、キス


――今日は、ごめん。・・・本当は一人でいくつもりだったんだ。でも、たまたま前で会って断りきれなくて。本当に、無神経だった



帰ってすぐに、丁度洋介さんから着信。
少しためらった後出るとそう言われた。




「そ、っか。うん。びっくりしただけで、大丈夫だよ」

――・・・あの人は、小学校からの幼なじみの友だちで、広美って言って。6年ぶりくらいに偶然会ってさ

「うん・・・」



ほら。
ちゃんと話してくれた。
やましいことなんて、なにもないんだよね。

私、信じる。
でも、一つだけ聞きたいの。



「洋介さんが、忘れられないって言ってた人・・・その人?」

――・・・・・・・




その沈黙が、肯定のようで。
でもどこか、そうだって思ってた。



――ごめん

「なんで?・・・謝る必要なんてないじゃん。それとも、やっぱり・・・」

――違う。あいつの事は、もう終わったことで。自分の中でも、キリを付けてた。今は、一華の事本当に想ってる。

「・・・そっか。じゃあ、大丈夫。洋介さん、信じてるから」



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