背伸びして、キス


「わあ!」



包みの中から出てきた箱を開くと、可愛いネックレス。
小さな花のネックレスだ。




「可愛い、ありがとう!」

「いや。あの、一華も。ネクタイありがとな」

「え、あ、あんな渡しかたしちゃって・・・ごめん・・・」



思い出して青ざめる。
もっとちゃんと渡したかったのにな・・・。



「いや、でも嬉しかった。本当に、ありがとな」

「・・・うん」




あの時は、不幸のどん底にいるんじゃないかって思ってた。
でも、きっと、あれがあったから今の私たちがあって。


きっと、ずっと先の未来で、あの時はあんなことがあったねって笑って話せるようになるよね。




「ね、つけて」

「ああ、貸して」

「はい」



洋介さんに背中を向けて髪の毛を纏めて上にあげる。
待ち遠しくて鼻歌が漏れる。




ちゅ




「っ!?」



首の裏に柔らかい感触。
ビックリして振り向くといたずらな笑顔を見せる洋介さん。



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