背伸びして、キス
武くんは知らなかったことだもん。
私と仲良くないからって、武くんに関わらないでって言うのはおかしいし、武くんとは仲いいんだから私がどうこう言う事でもない。
「ちょっと待てよ、そんなの知らなかったし。あいつら、そんなん許せねぇ。俺が一言・・・」
「やめてっ!」
武くんが怒りにまかせてそう言ったのを、私は叫んで止める。
そんなことしたら余計に・・・。
「バカじゃないの。火に油注いでどうすんのよ。あんたが出てくると余計ややこしくなるんだから黙ってなさいよ」
「なんだよ・・・。俺だってそれ知ってたら・・・」
「ごめんね武くん。本当に、大丈夫だから。別にいじめられてるとかじゃないし。気にしてないことだから。武くんは今まで通りちゃんと接してあげて」
「・・・一華がそう言うなら・・・」
渋々そうに武くんはそう答える。
私はホッと肩をおろし、前のめりに浮かんでいた腰を落ち着けた。