背伸びして、キス


今しかできないことって、いったいなんだろう。
一条さんとこうしていることだって、私にとっては今しかできないことかもしれない。


一条さんが言いたいのは、もっと学生らしいことをしろってことで。
もっと、学校の事に目を向けろってことで。



そう思ってるから、この間も私を残して帰っちゃったのかな。




私は子どもで。
子どもは子どもらしく、子どもと一緒にいればいいって。



距離をとられてるのかな。




「今日はありがとうございました」

「いや、こっちこそ。ひなもすごい喜んでた。編み物は姉貴が帰ってきたら教えてもらうんだとさ」

「そっか。よかったです」



楽しい時間はあっという間で。
とても切ない。



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