わたくし、愛しの王太子様に嫁ぎますっ!
案内された部屋の窓からは確かに街が一望でき、今まで泊まったどの宿よりも備品が綺麗で整っている。
特に、カーテンにほころびがないのが一番うれしいハンナだった。
さっきまでのガッカリ感が消えうせ、さすが王都に近い街のお宿だと感心しきりだ。
リリアンヌが明日身に着けるアクセサリーの点検を終え、あとはドレスの到着を待つだけになった。
自分の仕事を終えると、リリアンヌのことが気にかかる。
賊の襲撃を受けて以来、ずっと元気がないのだ。
笑顔も無理している感じで、ハンナはとても心配だった。
やはり怪我をしたこととドレスが駄目になったことが原因だろうと思っていたが、ここのところ、どうも違うようだと感じていた。
それはメリーたちが先発したときが顕著だったように思う。
部屋の中で休んでいる今も、リリアンヌの様子がおかしい。
窓の外を眺めながら、ふとため息を吐く。
その愁いを含んだ横顔は大変美しくて、儚くて、女の身でありながらも抱きしめたいと思ってしまう。
もしや乙女心が・・・?と思うが、ハンナはぶるぶると首を横に振って、その考えを頭から追い出した。
これは、気づかないふりをしなければいけないことだ。
「リリさま、メリーが来るまで外を歩きましょうか。まだまだ外は明るいですし、探検しましょう」
ハンナは気分転換にいいと考え、リリアンヌを部屋の中から連れ出した。