大人のような子供の二人
「私?」

「お前だ」

「そう?」

「そうだな。だから、相手もたまにキツイ口調で来るはずだ」

「そうかな?」

 あまり気にした事はなかったけど。

「アイツも、もう少し手加減すればいいものを……」

「え?」

「いや、何でもない」

 宇津木君は神崎ちゃんを呼び出して、隣に座らせながらニヤッとする。

「どっちにせよ。一回、アイツに謝らせてやれ」

「…………」

「今野なりに、加納の事を心配してるんだろう」

 そう言って、宇津木君は神崎ちゃんの頭に手を乗せた。

「こいつは、捕まえないといけないけど。お前は言えば解るだろう?」

「どういう意味ですか」

 睨む神崎ちゃんに、涼しい顔のままの宇津木君。

 それはそれで楽しいけど……溜め息をついて、カウンターに肘をついた。
< 10 / 26 >

この作品をシェア

pagetop