大人のような子供の二人
「それとな、加納」

「はいはい?」

「こんな訳の解らない女。俺くらいしか相手にならないだろう」

 え? いきなり何をのろけてるの?

 だけど、言われた本人は一瞬で目を丸くした。

「んな……っ!」

 神崎ちゃんが絶句して、顔を赤らめたり青ざめたりしているのを眺めながら、ふと何か思い出せそうな気がする。

「失礼にも程がある!」

「いつも失礼なのはどっちだ」

「私だけど。それにしても、言っていいことと悪い事がある!」

「お前、自分が解りやすいって言われて嬉しいか?」

「嬉しくない!」

「難儀だな」

「でも、せめてもう少し言葉を選ぶとか、丸くするとか……」

「しない。丸くしたら解らないだろうが」

「そうだけど……っ!」

 解り合えていないようで、しっかり解り合っている二人。

「うらやましいなぁ」

 と、呟いたら、

「これのどこが恨めしいんですか!」

 神崎ちゃんに噛み付かれた。

 いや。恨めしい訳じゃないんだけれど……この子のこういうところは笑うしかないんだよね。










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