夫の教えるA~Z
C 擽りの実験
何と言っても旦那サマは、私より5つも年上だ。
私が小学校1年生のころには、6年生のお兄さんだったということになる。
だからお兄さんらしく、色々な知識を私に与えてくれようとなさる。

私は勉強は大嫌いだが、彼が話しかけてくれるのが嬉しくって、フムフムと頷きながら蘊蓄を聞く。

結婚間もない私達にとっては、これが目下、大事なコミュニケーションとなっている………


今日は久しぶりの2人っきりの休日。

朝から旦那サマは、ソファにキチンと腰かけて、字の小さい難しそうなご本を熱心に読んでいる。

お掃除を済ませた私は、彼とコミュニケーションを取るべく、コーヒーを淹れて彼の前にコトリと置いた。

「何、読んでるんですか?」
「ああ」

私に気が付くと、彼はパタンと本を閉じ、目の前のコーヒーに口を付けた。

ソファを少し横に寄ると、トントンと隣のクッションをたたき、“オイデ”の合図をした。
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