夫の教えるA~Z
「何が?」

「だって、『信頼関係』で結ばれた仲良しがやらないとくすぐったくないのによ……
それじゃあ、獄卒と罪人は『ナカヨシコヨシ』ってことになるじゃないか」

「はあ…」

この人、何を考えてるんだろう…

「俺は知りたい。
で、俺の飽くなき探求心を満足させるためには……
奥さん、君の力が必要だ」

「え……」

嫌な予感がする。

「試させてくれないか」
   
 やっぱり。

「あのねえカチョー、ではなくアキトさん。
嫌にきまってるじゃないですか。
大体私、昔っから兄ちゃんのコチョコチョ攻撃には実に弱くって…」

彼はすかさず、言葉を被せた。

「なあ…トーコ、俺たちソロソロ、結婚3ヶ月になろうとしてる」

声のトーンがひどく沈んでいる。

「なのにさ、君が俺の事を本当に好きでいてくれるのか…気持ちが分からないんだ…何せ急な結婚だったからな」

「そ、そんなことないですよ?
トーコはアナタ様がその…大好きですよ?」

彼の深刻な面持ちに、私はワタワタと焦り始める。


「聞けば、3ヶ月目は『あれ?この人ちょっと違うみたい』という、最初の離婚の危機があるらしい」
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