夫の教えるA~Z
スッ。
俺は然り気無く、出掛けに買っていった物を差し出した。
フワリと甘い香りが漂う。
「これは…」
俺は、少し頬を赤くした。
「ちょっと恥ずかしいな。
昔、君が好きだと言った花、思い出したらつい買ってしまったんだ。
カトレアのミニブーケだよ」
カトレア。花言葉は『魔力』。
花束の中から一本を取り出し、彼女の髪に挿してやる。
「ほら、これだけでもう可愛い。
こんな子が、呪いなんてかけられるワケがない。やっぱり君は、普通のどこにでもいる女の子だ。
見えないものを恐がって、外に出るのを怖れている、ほんのちょっぴり臆病な」
ヒュウ。
その時、締め切っているはずの部屋の中に、一陣の風が吹いた。
「大神さ…」
彼女の顔から険が消え、みるみるうちに表情が和らぐ。
とろりと目許が下がり、頬が上気してゆくのが分かる。
ここぞとばかりに、俺はニコリと微笑んだ。
「さあ、女神様の怒りは解けたかな?」
「はい…」
「"呪い"なんてバカなこと、もう止めてしまうね?
だって君は可愛い、魅力に溢れた女の子なんだから」
「は……はいっ」
クスッ。
俺は、少しはにかんで見せた。
「ありがとう。
…さて、俺はもう結婚してしまっている。そして、いかに自分の運気が下がろうとも、今の妻をとても愛しているんだ。
だからもう、残念だけど君の相手に選ばれることはないだろう…」
「大神さん…そんな悲しそうな顔しないで」
触れない程度に、そっと頬に手を寄せた。
「これからはもっと外に出る。おしゃれをして魅力的になる。
そうして、薬やおかしな力に頼らず、俺なんかよりもっといい男を見つけて…
今よりもっと素敵な女性になってくれると、約束できる?」
「ハイ……🖤」
「フフッ、ありがとう」
俺は然り気無く、出掛けに買っていった物を差し出した。
フワリと甘い香りが漂う。
「これは…」
俺は、少し頬を赤くした。
「ちょっと恥ずかしいな。
昔、君が好きだと言った花、思い出したらつい買ってしまったんだ。
カトレアのミニブーケだよ」
カトレア。花言葉は『魔力』。
花束の中から一本を取り出し、彼女の髪に挿してやる。
「ほら、これだけでもう可愛い。
こんな子が、呪いなんてかけられるワケがない。やっぱり君は、普通のどこにでもいる女の子だ。
見えないものを恐がって、外に出るのを怖れている、ほんのちょっぴり臆病な」
ヒュウ。
その時、締め切っているはずの部屋の中に、一陣の風が吹いた。
「大神さ…」
彼女の顔から険が消え、みるみるうちに表情が和らぐ。
とろりと目許が下がり、頬が上気してゆくのが分かる。
ここぞとばかりに、俺はニコリと微笑んだ。
「さあ、女神様の怒りは解けたかな?」
「はい…」
「"呪い"なんてバカなこと、もう止めてしまうね?
だって君は可愛い、魅力に溢れた女の子なんだから」
「は……はいっ」
クスッ。
俺は、少しはにかんで見せた。
「ありがとう。
…さて、俺はもう結婚してしまっている。そして、いかに自分の運気が下がろうとも、今の妻をとても愛しているんだ。
だからもう、残念だけど君の相手に選ばれることはないだろう…」
「大神さん…そんな悲しそうな顔しないで」
触れない程度に、そっと頬に手を寄せた。
「これからはもっと外に出る。おしゃれをして魅力的になる。
そうして、薬やおかしな力に頼らず、俺なんかよりもっといい男を見つけて…
今よりもっと素敵な女性になってくれると、約束できる?」
「ハイ……🖤」
「フフッ、ありがとう」