夫の教えるA~Z
V 友の結婚
「トーコ、まだなのかトーコ。そろそろ出ないと遅れるぞ」

車のキーをカチャカチャさせながら、アキトさんが私を急かす。

「わわっ、ちょっと待ってよー。
スピーチをメモっといたのが見つからなくって。
昨日徹夜で考えたのに」

「あー、もう。そんなの、車の中でまた書けよ。さ、ほら、もう間に合わん。いくぞ」

「あ、ちょっと待って!やっぱりこのピアスより、青のダイヤのやつの方がカワイイ…」

「い く ぞ」

いーーやーー…

半ば彼に引きずられるようにして、わたしは車に乗り込んだ。


「全く、遅刻したらどうするんだよ。申し訳ないじゃすまない、一生口きいてもらえなくなるぞ」
「うう~、面目ない」

朝の5時。
北九州から京都まで、およそ7時間の道を、時速150キロでぶっ飛ばしながら、アキトさんは小言を言った。

今日はなんと、会社にいた頃の友人、夏にもうちに泊まりにきてくれた(※詳しくはFを見てね!)実果ちゃんと白木君の結婚式なのだ。

白木君が本社から大阪支店に転勤になったので、ふたりは実果ちゃんの実家のある京都で結婚式をあげる。
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