夫の教えるA~Z
鈴木社長逹と別れたアキトさんを加え、夕暮れの中を4人ボチボチと帰路につく。
 
実果ちゃんと白木くんが手を繋いで少し前を行き、私と彼は並んで歩く。

放心状態からやっと復帰した私は、キツネにつままれたような気分で、横を歩く彼に問いかけた。

「…あ~、アキトさん。
えっと……その袋の中はナアニ?」

「ああこれ?
赤ナマコだよ、珍しいだろ?
帰って料理してみよう」

「ナマコぉ⁉」

袋を目の前に上げた彼に向かって、私はあんぐりと口を開けた。

毒タコじゃ…なかったのか。

気を取り直し、再び尋ねる。
 
「そ、そう。そういえば…忘れ物……って?」
「ああ、そうそう。社長へのお土産。玄関に置いてあっただろ。
ま、今度会ったとき渡すからいいんだけどな」
ニッと笑う。

「………オミヤゲ」
ガックリと肩を落とす。 

勘違い……だったのネ。

そして最後に、いちばん肝心な事を尋ねた。

「……あの、それで……怒って……ないの?」
「俺が……何で?」

彼は片眉を少し上げ、夕日をバックにキラリと微笑む。
その容姿に、思わずほけっと見惚れてしまう。
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