ツインクロス
どうして、こうなるんだ!!
冬樹は、教室の自分の席に座って固まっていた。前では、担任が入学式の説明と今後の流れなどを説明している。
有り得ない。
まさか、雅耶とクラスまで同じだなんて…。
校庭で話し掛けられたのに、そのまま逃げてしまった気まずさは勿論だが、今後のことを考えると更に気が重くなる冬樹だった。雅耶も朝のことを気にしているのか、さっきから何度かチラチラとこちらを振り返って見ている。
(何にしてもやりにくい…)
その一言に尽きる冬樹だった。
(もしかして…俺、避けられてたりする…?)
HR終了後、まだ多くの生徒達が教室に残る中、冬樹の席を振り返った雅耶は溜息をついて肩を落とした。既に鞄もない。もう帰ったのだろう。
雅耶は、今朝のことを謝ろうと冬樹に話しかける機会をずっと窺っていた。だが、式典の為講堂に移動する際も、教室に戻ってHRが始まるまでの僅かな時間でさえも、冬樹はどこかに行っていて、結局一言も話すことは叶わなかったのだ。
もしかしたら、たまたまだったのかも知れない、とも思う。
(でも、久し振りに再会出来て嬉しかったのにな…)
流石に落胆の色を隠せない雅耶。
(でも、明日からもずっと学校で会えるんだし、まぁいっか…)
そう思うと、徐々に気分が浮上してきた。
「おー雅耶、帰るかー?」
長瀬が手に持った鞄を肩に担いで、雅耶の席までやってくる。
「あ、ごめん長瀬。俺、これから寄りたいとこあるんだ。今日は先に帰ってくれていいよ」
ゴメンと、片手を上げて謝るポーズをすると、
「そーなの?オッケー。んじゃ、また明日なー♪」
長瀬はあっさりと、にこやかに手を振って帰って行った。その友人が教室を出るまで見送って。
「さて…と」
雅耶も自分の鞄を手に取ると、
「姉御に会いに行きますかっ」
そう言って、教室を後にした。
雅耶は、若干校舎の中を迷いながらも何とか保健室の前まで辿り着くと、緊張気味にコンコン…と、控えめにノックをした。 すると、「はーい、どうぞ」と知った声が返ってきたので、ホッと肩の力を抜くと、ゆっくりと扉を開けた。
「失礼しまーす。…清香姉?」
「あら?雅耶じゃないっ!」
机で何か作業をしていた手を止めると、白衣を身に纏った女性が顔を上げて笑みを浮かべた。この学校の保健医である浅木清香は、雅耶の家の近所に住んでいて、小さな頃からよく遊んでもらっていた雅耶のお姉さん的存在の人物だ。
「今は誰もいないから大丈夫よ。入りなさいよ」
「はーい、失礼しまーす」
雅耶はそのまま保健室へと入室した。
冬樹は、教室の自分の席に座って固まっていた。前では、担任が入学式の説明と今後の流れなどを説明している。
有り得ない。
まさか、雅耶とクラスまで同じだなんて…。
校庭で話し掛けられたのに、そのまま逃げてしまった気まずさは勿論だが、今後のことを考えると更に気が重くなる冬樹だった。雅耶も朝のことを気にしているのか、さっきから何度かチラチラとこちらを振り返って見ている。
(何にしてもやりにくい…)
その一言に尽きる冬樹だった。
(もしかして…俺、避けられてたりする…?)
HR終了後、まだ多くの生徒達が教室に残る中、冬樹の席を振り返った雅耶は溜息をついて肩を落とした。既に鞄もない。もう帰ったのだろう。
雅耶は、今朝のことを謝ろうと冬樹に話しかける機会をずっと窺っていた。だが、式典の為講堂に移動する際も、教室に戻ってHRが始まるまでの僅かな時間でさえも、冬樹はどこかに行っていて、結局一言も話すことは叶わなかったのだ。
もしかしたら、たまたまだったのかも知れない、とも思う。
(でも、久し振りに再会出来て嬉しかったのにな…)
流石に落胆の色を隠せない雅耶。
(でも、明日からもずっと学校で会えるんだし、まぁいっか…)
そう思うと、徐々に気分が浮上してきた。
「おー雅耶、帰るかー?」
長瀬が手に持った鞄を肩に担いで、雅耶の席までやってくる。
「あ、ごめん長瀬。俺、これから寄りたいとこあるんだ。今日は先に帰ってくれていいよ」
ゴメンと、片手を上げて謝るポーズをすると、
「そーなの?オッケー。んじゃ、また明日なー♪」
長瀬はあっさりと、にこやかに手を振って帰って行った。その友人が教室を出るまで見送って。
「さて…と」
雅耶も自分の鞄を手に取ると、
「姉御に会いに行きますかっ」
そう言って、教室を後にした。
雅耶は、若干校舎の中を迷いながらも何とか保健室の前まで辿り着くと、緊張気味にコンコン…と、控えめにノックをした。 すると、「はーい、どうぞ」と知った声が返ってきたので、ホッと肩の力を抜くと、ゆっくりと扉を開けた。
「失礼しまーす。…清香姉?」
「あら?雅耶じゃないっ!」
机で何か作業をしていた手を止めると、白衣を身に纏った女性が顔を上げて笑みを浮かべた。この学校の保健医である浅木清香は、雅耶の家の近所に住んでいて、小さな頃からよく遊んでもらっていた雅耶のお姉さん的存在の人物だ。
「今は誰もいないから大丈夫よ。入りなさいよ」
「はーい、失礼しまーす」
雅耶はそのまま保健室へと入室した。